新品の台湾製のレプリカパーツよりも、半世紀前の純正部品の方が、造りや精度が違う為トラブルに合う確率が減ってきます。ハーレーダビッドソン本社でキッチリと設計され各パーツごとに耐久テスト等を経てから生産された当時のパーツと、その純正パーツを元に現在作られた社外品とでは、ちょっと大げさですが、本物の30年前のロレックスと中国製の偽のロレックスの時計ほどの差があります。
以上の理由で、出来るだけオリジナルに近いハーレーであることをいつも心がけて、米国より輸入しております。
当店では旧車ハーレーをアメリカより続々と入荷しております。旧車ハーレーについて、詳しくは、お気軽にお問い合わせください。
鼓動館オーナー(私)のハーレーも1947FLナックルヘッドです。オリジナルレストア車両です。
2002年から動きつづけて3万キロ以上も乗ってますが、これといってトラブルはなく、絶好調で毎日走ってます。2006年もこれで北海道3000kmの旅も無事帰って来れました。
名古屋へ納車した1947ELです。このハーレーもかなりのオリジナル度でナイスなナックルです。
私のハーレー遍歴は、
1991年にEVOのFXSTCを新車で購入してから
1992年に1976年ショベルを入手
2001年にTC88のFATBOYを購入
2002年に1947FL ナックルヘッドを購入しました。
旧車ハーレーを4台維持するって大変でしたが、上記の車種はすべて大好きです。というかハーレーダビッドソンが大好きです。
これまでの経験や、鼓動館をやっていることですべてのモデルのハーレーに乗れる立場を多いに活用して、これからハーレーを購入される方へのヒントやアドバイスになればと思っています。
これからハーレーを購入される方の中には、どの車両が良いのか迷っておられる方も多いと思います。
TC88、96のインジェクションってどうよ?
キャブのTC88ってどうなの?
ショベルは本当に壊れるの?三拍子って?
EVOってTC88とどこが違うの?
ショベルの1200ccと1340ccってどう違うの?
旧車ハーレーの年間維持費って幾らかかるの?
各モデルの乗り味やフィーリングを本音で書き込んでみました。
すべてのハーレーにはそれぞれの良さがあり、誇張した表現ではなく、実際乗っていて感じるままを書いてみました。
※クリックしてください。エンジンのタイプ別に分けてあります。
KNUCKLE / PAN
【ナックルヘッド1936〜1947・パンヘッド1948〜1964】
特徴
この時代のハーレーの特徴は、なんといってもフットクラッチ、ハンドシフトで、いきなり乗りこなすのは絶対に無理!
でも、そこが実に絶妙にライダー心理をくすぐり、乗りこなしてしまえば「操縦しているぞ!」って感じがたまりません。
1950年代からはハンドクラッチがオプションであり、フットクラッチは1970年初頭まで純正でのオプションとしてあったようです。
エンジンを掛けるときには特有の儀式があり、それを行えば1〜3回で始動します。リジッドフレームも、オリジナルシートポストがあれば全く違和感はありません。
ただ、大きなギャップには要注意!腰から頭の先まで「ガツーン!」ってしびれてしまいます。
あと、とにかく目立つ!視線が痛いくらいです。ハーレーダビッドソンを全く知らない人からにも「古いバイクに乗ってますねえ!」って、信号待ちや高速SAで必ず声を掛けられます。この「古い」というフレーズが、最高の誉め言葉なんですよ。
私はいつも「昭和22年のバイクです」って答えています。
「へぇ〜!私より幾つ前や!」って話に毎回なりますよ。
始動性
キックオンリーですが、きっちり整備されていればキック一発始動です。
ただし「要慣れ」の一言に尽きます。
操縦性(フットクラッチ)
慣れれば文句はありません。かえって渋滞の中なんかは非常に楽ですよ。
ウィンカーがなくてもOKな時代のハーレーなので、ウインカーはありません。恥かしがらずに手信号をしてください。
コーナーリング特性(リジッドフレーム)
私個人的にはハーレーダビッドソン歴代BIG TWINの中で一番コーナーリング性能が良い!と思っております。タイヤの空気圧を注意すれば、峠ではTC88より確実に速いですよ。
理由は、車重が軽量、バンク角が深い、リジッドなので変なよじれが少ない、かな?
ツーリングインプレッション
下の道では、TC88とも普通に走る事が出来ます。高速でも、120kmまでならショベルより楽に巡航することが出来ます。80kmから120kmまでエンジンの振動が変わらないのが、その理由です。120kmを超えると、ちょっとエンジンが可哀相になってしまいます。
しかし、当時のパンフレットでは「世界最速マシン165km/h」となってますので、そのくらいは出るのでしょう。でも、スプリンガーフォークが原因でハンドルが振れて、怖くって出せません(^_^;)
ただし、ショベルのような心地よい鼓動感ではなく、常にゴツゴツって感じの鼓動感があります。
あえて気持ちの良い巡航速度は、70〜80kmかなあ!100kmでも何てことはありません。
燃費は、16〜18km/lです。トリップメーターが100mile(160km)で「00.0」となり、そこが給油ポイントです。
ナックルヘッドとパンヘッドの違いについて
ハッキリいって、外見以外での乗り味は非常に似ています。目をつむって乗ると、見分けがつかないくらいです。
あえていうと、パンヘッドの方が、ヘッドの形状上、エンジンの振動と共鳴する回転域があります。それを抑える為に、パンヘッドの裏には、ゴムのパッドが張ってあります。
EL(1000cc) FL(1200cc)の違いについて
私は1947FLを所有しておりますが、EL(1000cc)に乗った印象は、ショベルの1200ccと1340ccの違いとよく似ています。
FLはゴツゴツってな感じで走り出すのに対して、ELは振動がやさしくコロコロ感があります。その為、マニアではELが良い!ショベルは1200ccが良い!という評価があるようです。
実際に走ってみても、非力感は全くありません。あえていうと、急な坂道では、ちょっと早めにシフトダウンしてあげなくては?って位です。高速走行も全く違和感ありません。
だからといって、FLだから具合が悪いって事ではなく、スタートから力強く走ってくれますよ。
外見では、全く見分けがつきません。エンジンのシリアルナンバーをチェックするしかありません。1947年製造であれば1947の下2桁が頭になり47FL123456。1948年製造では48EL123456と刻印されています。
メンテナンス
この時代のハーレーダビッドソンは、オイル漏れはして当たり前!というか、してなくてはいけないんです。
プライマリーケースでは、常にオイルが1次チェーンに掛かるようなシステムになっており、そのオイルが、そのままプライマリーケースから漏れてきます。温泉でいうと「源泉掛け流し」の状態です。「ドッバーというオイル漏れ」以外はヘッドからオイルは漏れて来ても気にしない!というくらいの気構えでないと、所有したらノイローゼになってしまいますよ。
メンテナンスは、言い出すと書き切れないので省きますが、基本は、チェーンの張り・1次チェーンと2次チェーンを引っ張り調整するくらいです。あとは、予備オイル1本、プラグの予備は常に積んでおくことです。
私の1947FLナックルは、すでに3万キロ以上を走破しましたが、大きなトラブルはありません。本当ですよ。
この時代のハーレーダビッドソンは、作りがシンプルなんですよ。セルやウィンカーもないですし、パーツの点数が少ないことも、トラブルが少ない要因だと思います。
短所
これといって短所はないのですが、6Vのバッテリーのためライトが非常に暗く、夜の峠の走行は非常に怖いです。LEDの懐中電灯の方がマシなくらい(^_^;)
購入のワンポイントアドバイス
この年代のハーレーは、オリジナル度で価格が大きく変わってきます。
パーツがオリジナルでも、レストアー済みの車両がほとんどです。オリジナルペイントで一見ボロボロの方が、価格は大変高価になります。
さらに、現在、米国内でも滅多に見つけることが出来ないのが現状です。
価格は、車両ごとのコンディションの差が大きくて、一概にはいえません。
現状渡しで乗れる車両はないといっていいでしょう。信頼できるショップ探しからお奨めします。
■ 48EL フルオリジナルのレストア車 藤原様
この車輌は文句なしのフルレストアー車両です。オリジナルパーツがほとんどでした。各パーツのコンディションも抜群です。私も欲しくなった1台です。
■ 48EL フルオリジナルのレストア車 海江田様
この車輌も文句なしのフルレストアー車両です。オリジナルパーツがほとんどでした。各パーツのコンディションも抜群です。メッキパーツがまぶしい一台です
■ 1958 DUOGLIDEフルオリジナルのレストア車 田中様
この車輌も文句なしのフルレストアー車両です。完全オリジナル。各パーツのコンディションはさすがに使えないものもありましたが、完全レストア済みです。
■ 1960 DUOGLIDEフルオリジナルのレストア車 菅沼様
この車輌も文句なしのフルレストアー車両です。ほとんどオリジナル。この年式のカラーリングもナイスですね!
SHOVEL
【ショベルヘッド1965〜1984】
鼓動館の最も得意とするハーレーです。私が個人的に一番好きな乗り味のモデルでもあります。
特徴
なんといっても、アイドリングの状態で実に綺麗な「
三拍子」を奏でてくれます。
「ポテコン〜♪ポテコン〜♪」
米国では「POTATO」って言います。
綺麗な三拍子が出ないとなると、どこかしらにトラブルを抱えているといっても過言ではありません。一概にはいえませんが、三拍子は、健康かどうかのバロメーターにもなります。
乗り味は、歴代ハーレーきって一番「おもしろい!」というフレーズが似合うハーレーです。とにかく走っていて楽しいハーレーなんですよ。
乗り味と「
三拍子」とデザインが、今でもショベル人気を支えている由縁でしょう。
30年も前のハーレーという歴史認識もさることながら、エンジンのコロコロ感!80〜100kmくらいで流しているときは、脳みそが溶けそうなくらいに気持ちが良いんですよ!
決してハイテクではないところが、人間らしくって乗っていて面白いんでしょうね!ショベルまでは、アナログ感が楽しめます。EVOやTC88からは、一気にデジタルチックなエンジンの動きをします。
あと、スタイルがなんといってもカッコいい!ストリップでもフル装備でも70年代〜80年代を感じさせてくれます。
ナセルヘッドとフロントフェンダーの間が狭い。以後のハーレー、すなわち、EVOやTC88、TC96に比べて、車高が非常に低いんですよ。これは、フレームの位置が根本的に低いためです。手作り感がまだまだ残っていて、デザイン重視で設計されていたハーレーダビッドソンこだわりのハーレーであるのがわかる部分です。
TC88からは、横から見ればエンジン周りから向こうの景色が見えるんですよ。これは大量生産をする為にロボットを多用して組み上げられているからです。
う〜ん!ホントいつまで見ていても飽きないエンジン形状ですね!
丸いシリンダーやバルタン星人をホウフツさせるショベルヘッド周りはアルミ無垢なので、磨けば何ともいえない輝きになります。
1200ccと1340ccの違い
1200ccは、1970年から1979年の前半まで生産されました。1979年後半からは、1340ccになりました。
乗り味は、1340ccの方は、ゴツゴツしたパワーを感じます。だからといって、1200ccが非力か?といえばそうではなく、優しいし鼓動感が感じられます。どちらも乗ってしまえば、やはり
ショベルの乗り味で、面白いハーレーです。
ただ、エンジンの排気量と関係なく、1970〜1976年までの車両の造りと、1980年のショベルFLHの造りには、違いがありますねえ!前期の方が、こだわりがあって個人的には好きです。
決して、80年代が悪いわけではないですよ。1984年FLHXは特別で、920台しか生産されてなく、当時のハーレーダビッドソンのスタッフの意気込みが感じられるモデルです。非常に丁寧な組み上げをしているハーレーです。
始動性
オリジナルのショベルは、セルのみです。後からキックを装着されている方がほとんどです。
主な理由は、以下の3つ。
● セルスターター系のトラブルが多い。
● キックスタートしている自分の姿が好き!
● キックを着けても、四速なので違和感がまったくない。
また、ショベルのキャブのセッティングはガスが濃い目なので、慣れないうちは、よくプラグがガソリンでベタベタになり「カブル」という状態になりやすいんです。その為に、プラグの予備は絶対に必要です。
コーナーリング特性
ショベルのコーナーリング特性、特にFLHは…う〜ん!言いにくいですが、歴代ハーレーダビッドソン中、最低です。曲がれないことはないですが、毎回「ヨイショ!」って感じで寝かし込みます。しかも、当時の純正のタイヤは断面が四角いので、コーナーリングの際にフラフラしてしまいます。
でも、その分アメリカ大陸横断仕様!直線安定性能はピカイチ!です。私は、長距離ツーリングの際、よくアクセルを固定して、リアのバッグに寝そべっています。そのまま直進してくれますよ。でも、EVO、TC88は、左のプライマリーが重たくって、どうしても左に曲がってしまいます。
ただし、FXS(ローライダー)系は、寝かしこみが実に容易です。ヒラヒラと軽く曲がってくれます。これは、車重が影響しているんでしょうね。
なお、FLHとFXSは、フレームやエンジンは同じですが、ミッションのギアー比率が違います。FX系の方が、軽やかな加速ですよ。
ツーリングインプレッション
長距離ツーリングでも、間違いなくショベルは楽しいですよ。FLHのフル装備だと積載能力も十分あり、キャンプ道具一式も十分に積む事ができます。
どのモデルにも楽しさはあるのですが、ショベルのアナログ的振動が、なんだか人間に近いものがあり、直線を走っていてもすごく楽しいんですよ。
ただし、トラブルを避ける為に、日頃の整備は欠かせませんが…。
メンテナンス
「ショベルは壊れる」って噂はたえないのですが、実際はどうなんでしょう?
実際の話、確かにショベルは設計上で甘い部分もあるので、オイル漏れを気にしない気構えで所有した方が気が楽ですよ。
TC88を新車で買ってオイルがにじんできて気絶しそうな友人がいましたが、それでは、ショベルを維持するのは、精神的に無理でしょう。
ハーレーダビッドソンは、常にエンジンの欠点箇所を改善し続けており、EVOからは耐久性が飛躍的に向上しています。
ショベル以前のハーレーは、EVOやTCのように、乗りっぱなしでは順調に走ってくれません。
また、最終年度(1985年FLHX国内登録車両)のショベルも、すでに旧車といわれるハーレーです。
走行距離に関係なく、パッキン類などの経年劣化の著しい部品は、間違いなく要交換です。よくあるトラブルで、マニホールドから二次エアーの吸い込みが発生して「クシュン!クシュン!」と鳴くキャブレターからの吹き返しや、アイドリングが下がらない等の不具合が発生してしまいます。
しかし、経年劣化による現象は「ショベルだから」というものではなく「20〜40年以上も前に生産されたハーレーだから」起きてしまう現象といえます。当時生産されたホンダのCB750KOやZ750Fも同じです。
では、耐久性の向上したEVOやTCも、30年経てば同じ現象が起きるのか?
答えは YESです。「旧車ハーレー」と呼ばれる頃には、経年劣化はどこかしらでてくるものです。
キッチリ整備されたショベルは、ロングツーリングでも問題なく行けますよ。
でも、予備のパーツは要積載ですよ。プラグ、コイル、ポイント等。これは、古いEVOでも同じです。
鼓動館では、ショベル以前のハーレーはすべて、エンジンをオーバーホールして納車しております。
1970 FLH 南都様
全米でも滅多にない最高の状態の1970年のオリジナル車両
1970 FLH 乾 様
1970年のFLHです。やっぱり70年初頭のショベルもいいですね。
1971 FLH
究極のオリジナル極上車 オリジナルペイント 絶好調との連絡がありました。今では四万十川流域を走られておられます。
1974 FLH 岸 様
オリジナルペイント、コンディション車 貴重なオリジナルレインボーペイント
前オーナーは元メジャーリーグ選手 (Cleveland Indians)
1976 FLH 橋本 様
生まれ年に拘ってようやくGETされた76FLHです。これもオリジナルコンディション車 貴重なオリジナルペイント
1979 FXS 吉原 様
オリジナルコンディション車 一番人気の77年に告ぐ79ローライダーです。
はじめはちょこちょこと細かなトラブルがありましたが、今は絶好調です。
1979 FXS 筒井 様
オリジナルコンディション車 福井県へ嫁ぎました。大切に乗ってくださいね。
1975 FLH 岡村様
これは貴重なゴールドカラーのショベルです。勿論オリジナルコンディション。
1976 FLH 岡 様
1976年式 米国建国200周年記念モデル!ワンオナー車で、完全オリジナル車両です。コンディションも抜群です。走行も9100mil(14500km)でした。
1979 FLH 田尻様
オリジナルペイント。納車前まではエンジン不調でてこずりましたが、今や絶好調です。
1981 FXS 松本様
かなりお金の掛かったカスタムFXSです。勿論、完全OHしてから納車しました。絶好調です。
1981 FXS 岡村様
オリジナルコンディション。今ではエイプハンガーに変更されています。絶好調です。
1984 FLHX 中 善次郎様
完全オリジナルコンディション。ショベル最終型。特別エディションのFLHXです。前オーナーはご高齢の為に降りられました。
昭和登録のショベルFLHXです。いつも彼はツーリングで広報担当してくれてます。勿論、絶好調です。
1984 FLHX 石橋 様
完全オリジナルコンディション。ショベル最終型。TC88からの乗り換えです。最高に面白いですわ!! とおっしゃってます。
1984 FLHX 川口様
完全オリジナルコンディション。ショベル最終型。特別エディションのFLHXです。絶好調です。
川口君の数あるハーレーダビッドソンコレクションの1台です。
SIDEVALVE
1942年WLAのカスタムハーレーです。
750ccのエンジン構造はいたってシンプルですが、かなり手こずりました(^_^;) やっと完成です。
このハーレー、当時はノルマンディー上陸してヨーロッパ戦線を走っていたんでしょうかね?
軽量でコンパクトなハーレーです。でも、ちょっと非力かな?100km巡航は、かなり無理があるかも…。60kmでの巡航が、気持ちいいハーレーです。
EVOLUTION
【EVOLUTION 1985〜1999】
特徴
ショベルの欠点を克服し、性能、耐久性等が飛躍的に向上したエンジンです。何はさておいて、信頼性が、TC88と同等に良くなりました。オイル漏れも、パッキン劣化以外、ほとんど無くなりました。
なんといっても、振動がある!鼓動感があります。でも、それは110km/hまでの話で、それ以上になると、振動で手がしびれます。
また、点火時期とキャブを調整すると、綺麗な三拍子を奏でることが出来ます。
信頼性、振動、三拍子の3点が、今でも人気の衰えを見せない大きな要因でしょう。
初めてハーレーダビッドソンをお求めになるなら、EVOはお勧めの1台ですよ。
でも、国内での玉数は、非常に少ないです。免許制度が厳しい時代のハーレーなので、当時の国内販売台数が少なかった為なんです。
100km/hくらいで高速を流していると、EVOもまた楽しい一台ですよ。
はじめて購入した1993年EVOのFXSTCと、2001年に購入したTC88のFLSTFを乗り比べたのですが、高速で100km/hまでなら、大きな違いは感じませんよ。
それ以上の高回転域でのクルージングになると、TC88に軍配が上がります。
とはいえ…どちらもそれ以上で走ったって楽しくないですよ。
ポジション的に風の抵抗を思いっきり受けて、国産リッターバイクとは比になりません。つらいです。
TC88のFLSTFを購入したときのこぼれ話です。
2001年に、数年ぶりにハーレーダビッドソンのディラーへ行き、現行ハーレーがTC88になっていること初めてを知りました。店の方の「速くなった」というセールストークを鵜呑みにして購入しましたが、乗り手を交代してTC88 VS EVOのゼロヨンを行った結果…全く同じでした(^_^;)
ハーレーは、速い遅いってレベルでは語れないバイクです。同じ土俵でしたら国産リッターバイクにはかないませんよ。
人気面では、ソフテイルモデルが一番人気です。FLSTF、FLSTC、FXSTCは、常に人気モデルです。特に、FLSTSヘリテイジスプリンガーは1997〜1999年の3年間しか生産されておらず、今では、250万円を軽く超えたプレミア価格で取引されています。
乗り味
EVOとTC88は、非常に似た乗り味です。ナックル、パンはメカノイズが多いですが、ショベルまでのエンジンにはアナログ感があり、EVOからはデジタル化した乗り味のエンジンになりました。
一発一発の鼓動は、確実に感じるエンジンです。
始動性
このモデルからは、セルのみです。
キックを付けておられる方は、非常に少ないです。5速になったことで、キックを取り付けると、ちょっとイビツな感じになってしまいます。
通常では、TC88と同じく「チョークを引っ張り、セルを回す前にアクセルを3回ほど空回しをしてから、セルで始動」です。決して難しいものではありません。
コーナーリング特性
ソフテイルモデルとダイナモデルでは、全く違った特性があります。
ソフテイルモデルは、デザイン重視でリジッドフレームのようなショック付きフレームです。
その為に、コーナーリングは、ダイナモデルに軍配が上がります。特に峠を攻めなくても、単に車線変更の際にも、ヒラヒラ感で軽い操縦性がダイナモデルの特性です。これは、フロントのキャスター角とリアのショックが、普通のバイクの設計から来ているためです。
とはいえ、ソフテイルモデルは、決して乗りにくいレベルではありません。ダイナモデルと比べると「ややコーナーリングは苦手かな?」ってレベルです。
でも、コーナーリングがどうのこうのって関係ないのがハーレーダビッドソンです。
アメリカ大陸生まれのハーレーダビッドソンは、どのモデルも「直線をいかに楽しく楽に走れるか」をコンセプトに作られたバイクです。
なんといってもカッコ良い!これに尽きます。ご自分の気に入ったモデルを購入するのが一番です。
決して、サーキットを走るのには適してはいませんよ。
1998年 FLSTS 川口さま
スポーツスターからの乗り換えで、念願のスプリンガーヘリテイジに乗り換えられました。
1998年 FLSTS 川西さま
最高の三拍子を奏でていますよ。
1999年 FLSTC
EVO最終型です。横浜へ納車しました。今でも元気に走ってますか?
SPORTS
スポーツスターは、2003年までのモデルが断然面白い。
これは、2004年からラバーマウントのフレームに変更した為です。
では、883ccと1200ccのどちらを選ぶか?
普通の感覚なら1200ccが良いバイクとなるのですが、ここがポイントです。
1200ccは、国産の4気筒エンジンのようなフィーリングで「フォン!フォン!」と綺麗な吹き上がり方をします。スポーツスターで峠を攻めるのでしたら、1200Sがお奨めです。
ただし、トルクは883に比べるとありません。エンジンを回して走るってエンジンです。ツーリングメイン、フィーリングメインなら883です。
883ccはハーレーダビッドソンらしいドコドコ感のある走りをします。ハーレーダビッドソンらしさを求めるのなら、2003年までの883がお奨めです。
TWINCAM
【TWINCAM ツインカム88 2000〜2010】
特徴
アメリカ国内のフリーウェーの最高速55mile/h(88km/h)が、75mile/h以上(120km)に緩和されたことが、一番の誕生のポイントです。
私がロスアンジェルスに住んでいた頃は、55mileでした。最近、フリーウェーを走ってみると、実際には80mileで車が流れています。130km/hくらいです。先ほども述べましたが、以前のハーレーでの走行は、120kmでも巡航はキツイんですよ。それが、TC88になってからは、振動がなくなってスムーズな高速走行が可能になりました。
このように、エンジンに関しては、非常に完成度の高いものになっています。TC88で初めて高速走行したとき、振動がなくて「バックミラーで後ろを走っている車の車種までわかる!」って驚きました。
すべて当たり前ですが、歴代エンジンの進化の過程で、オイル漏れやメンテナンスフリーの部分等すべて改善されています。
ただ、1340ccから1450ccになっても、あまりパワーの差を感じる事はありません。
国内では、1996年から大型二輪免許の規制緩和のお陰で、誰でも教習所で免許取得可能になりました。その効果は絶大で、TC88の発売も重なり、国内のハーレーダビッドソン販売台数は、飛躍的に伸びました。現在では、国内のみでも年間1万台は軽く販売されています。
それまで、アメリカ本社では、戦前のナックルの時代から年間1万台をコンスタントに生産していました。それが、日本に向けてだけでも年間1万台を越えて生産しなければならず、大きな改革が求められたのはいうまでもないと思います。その為、生産性を重視することに。以前のモデルを知っている私にしてみれば「しかたないか?でもなあ?」って部分はあります。
外観
1.まずはタンク。伝統的にニ分割のタンクが、すべてのモデルで一体化しました。
2.フレーム。タンクの中のフレームが、単なる四角い鉄筋に!
3.エンジンとミッションの一体化。ミッション上のフレームも、ダイヤモンドフレームに。
薄いU字型のフレームが、おまけ程度にミッションの上に付いてます。以前のモデルでは、そこにシートポストが入っており、そのなごりです。
4.横から見た際に、エンジン脇から向こうの景色がよく見える。

▲TC88のフレームです。四角い鉄骨がポイントです。

▲ショベルのフレーム。EVOも同じ形状のフレームです。
ショベルまでのモデルは明らかにデザイン重視で、設計の際、タンクとエンジンのラインにこだわっていたのがわかります。
上記のことはパッと見ただけでは判らない部分ですが、バイクって、フレームにしただけでもセクシーさがあったんですが…。あくまでも生産性を重視した設計で、決してコストダウンではないと信じております。
デザイン重視から生産性重視に変わったので、ロボットがフレームにエンジンを載せている光景が浮かびます。
乗り味
振動がなくなり、長距離でも楽なハーレーです。
鼓動感がない。
ハーレーダビッドソンらしくないともよく言われますが、キャブ仕様でしたら鼓動感もあり、快適の一言です。140km巡航も、ラクラク出来ちゃいますよ。
ただし、三拍子は非常に出にくい。2004〜06キャブ仕様モデルはモジュールを交換すると出るのですが、それ以前のモデルでは、綺麗な三拍子を出すのは非常に難しいのが現状です。簡単に説明すると、これは、以前のモデルよりエンジンのストロークがショートストロークになった為です。
また、ブレーキは、ワンポットキャリパーから4ポットキャリパーへの変更で、効きが格段に良くなりました。
【ツインカム88 96 インジェクション】
特徴
アメリカ国内での排ガス規制のために、キャブレターからインジェクションへ移行しました。TC88には以前からインジェクションモデルがありましたが、2007年より、全モデルがキャブレターを廃止し、インジェクションへ。
セルボタン一つで快適ドライブ!
車と同じです。利便性は抜群です。
でも、利便性だけを求めてハーレーダビッドソンを購入される方は、少ないと思います。利便性でしたら、国産のビッグスクーターにはかないませんもん。
鼓動館では、新車ハーレー(インジェクション)を購入されたお客様がよくこられます。
その際、
1.鼓動感がない!
2.ドコドコ感がない!
3.面白くない!
4.ハーレーってこんな乗り味?ビッグスクーターと変わらない。
5.アイドリングが高い。三拍子が出ない。
6.マフラー交換が出来ない。
という感想を多く耳にします。
「だから、ハーレーダビッドソンらしく鼓動感があり、ドコドコ感を出して欲しい。マフラー交換をして欲しい」という要望が非常に多くなってきました。
インジェクション車両のマフラー交換
でも、現在では、その問題を解決できないんです。
キャブ仕様を例に、少し詳しく説明します。
キャブ仕様では、マフラーを交換した際、必ずキャブも調整する必要があります。
キャブのノーマル状態は、例えると「大きな肺活量をもった大男が、ストローで吸って、ストローで吐いている状態」です。この大男が竹の筒で呼吸できるように調整してあげると、スムーズに、かつ、大きく呼吸(本来のポテンシャルを発揮)できるようになります。
このとき、キャブの調整をせずに竹の筒(マフラー)だけを交換すると、吸う方がまだストローで吸っている状態なので、バランスを崩してしまいます。実例で言いますと、アクセルを開けた際、閉めた際に「パンパン!」とバックファイヤーを起します。なので、キャブの調整が必要なんです。
では、インジェクションの場合はどうでしょうか。
インジェクションは、適正なガスの量を送り込みむように、コンピューターで制御しています。
インジェクションのマフラーを交換すると、前述したキャブ調整と同じく、インジェクションを適正な状態に調整してあげなければいけません。インジェクションの調整には、ロムの書き換え(コンピューターを専用ソフトで書き換え)が必要です。
ここで、大きな問題が。
ロムの書きかえに必要な専用ソフトは、ハーレーダビッドソンではラインナップしていません。ハーレーダビッドソンディラーにしかないんです。
そういうわけで、現在では、その問題を解決できないんです。
バックファイヤーさえ気にしなければ、インジェクションのマフラー交換は可能です。
でも、キャブ仕様と、適正なガスの量を送り込みむようにできているインジェクションとでは、排気音の質が違ってきます。歯切れの良い音質のキャブと、大人しいインジェクションって感じです。
また、2007年モデルになってからは、CO2センサーがエキパイに装着されている為、さらにマフラーの交換がしにくくなりました。装着できるマフラーが限られてます。
総評
自分にあったモデル(エンジン)を購入されるのが一番です。新車ハーレーしかダメな方はTC96しか選択肢はありませんが、そうでない方はじっくり選んでください。
あなたに合ったハーレーダビッドソンは、必ず一生付き合えますよ。
どのエンジンのハーレーも、200万円以上します。簡単に乗り換え出来ないのも事実です。
少しでも参考になれば幸いです。
わかりやすく対比で書いてみました。
ロレックス | Gショック |
黒電話 | プッシュフォン |
プッシュフォン | 携帯電話 |
手紙 はがき | 電子メール |
一眼レフカメラ | フルオートデジカメ |
薪で炊く釜のご飯 | 全自動炊飯器のご飯 |
タライと洗濯板 | 全自動洗濯機 |
ナックル、パンヘッド | EVO TC88 |
ショベルヘッド | EVO TC88 |
キャブレター仕様 | インジェクション |
新行谷(シゲタニ)さま
2000年FLSTC 初めてのHARLEY-DAVIDSON ヘリテイジクラシックです。職場の仲間と楽しんでおられます。
鈴木さま 2001年 FLSTF FAT BOY
綺麗な黄色のFATBOYです。親子で楽しんでおられます。